「学生時代に頑張ったこと」は、エントリーシートや面接で必ずと言って良いほど聞かれる質問事項の1つ。

研究室やゼミ、部活動やサークル、アルバイトやインターンなど、分野に決まりはありません。幅広く自身の活動経験を洗い出してみましょう。

本記事は、ガクチカを書く上で抑えておくべきフレームワークに加えて人事視点の評価ポイントを例文に合わせて解説していきます。

※エピソード選定について

「高校時代の部活経験を書いても良いですか?」と質問を受けることが多くあります。

この”いつの学生時代なのか?”についても決まりはありません。

しかし人事視点では「この高校時代の経験を大学時代ではどのように活かしたのか?」と考えますので、ガクチカの中身が大学時代の経験であることは”Must”ではありませんが、”Better”ではあります。

コロナ禍では、複数回のステホームの影響で活動自粛を促されてきました。

企業側も理解をしていますが、そのような環境下だからこそ能動的な取り組みが評価されやすいとも言えます。

ガクチカ:構成のフレームワーク

ガクチカをエントリーシートや履歴書に記載するにあたり、以下6つの項目で構成してみましょう。

  1. ① 結論:活動のポイントと概要
  2. ② 目標・目的:何に向けて取り組んだ出来事なのか
  3. ③ 課題・困難:②に対してどのような状況で何が課題だったのか
  4. ④ 行動:③の課題に対して取り組んだこと
  5. ⑤ 結果:②設定した目標に対してどのような結果を得たか
  6. ⑥ 結論:活動・経験を通じてどのような学びを得たのか

人事の視点:評価ポイント

1:論理性・納得感

論理的な構成を意識して書くことが重要です。留意点は大きく2点。

  • 「②目標・目的」に対しての⑤結果になっているか
  • 「③課題・困難」に対しての④行動になっているか

当たり前のように聞こえるかもしれませんが、意外と多くの学生さんが陥るポイントです。

2:再現性・行動原則

人事は経験そのものを評価するのではなく、ビジネスシーンでも活躍してくれるか・成長してくれるかという視点でその学生の行動原則(コンピテンシー)に着目します。

  • なぜその課題を発見できたのか?
  • なぜその行動を取ったのか?(課題を確り認識しているか)
  • なぜその結果を得られたのか?

エントリーシートではその詳細を全て書くことはできませんが、面接では深掘りもされます。書類は面接時の目次の役割も果たすので、確りキーワードは記載しましょう。

3:定量的な表現

読み手により具体的イメージをさせるため定量的な表現を加えましょう。

例えば、

  • アルバイトの離職率を下げた→◯%の状況を○%に改善した
  • ゼミの発表で優秀賞を受賞した→◯チームの中の上位◯チームに選ばれた

上記のようにbeforeとafterを明確にするとより効果的です。

「アルバイト先でのお客様満足度」など結果を定量的にしにくい経験もあると思いますが、定量的にするポイントは結果だけではありません。

「◯名の後輩に対して」や「◯週間の早さで」のように、影響を与えた規模や取り組んだスピードなどを数値化していくこともできます。

ガクチカ例文①

インタツアー社の有給アルバイトで、企業へのインタビュー活動に力を注いだ。
「学生インタビュアーだからこその視点で企業情報や魅力を引き出し、関係者の期待以上の成果を出すこと」を目標に2年間取り組んできた。
活動の中での一番の挫折経験は、参加初年度に担当企業からインタビュアーの変更を伝えられた事だ。
担当企業の期待に応えられず挫けそうになったが、持ち前の向上心の高さから自身の成長のチャンスだと捉え、インタビュー方法のブラッシュアップを図った。
インタビュー動画を何度も見返し、自身の課題を「情報不足から表面的な質問にとどまっていること」「質問の意図が不明瞭なこと」であると考え以下を徹底した。
①当該企業情報に加えて、業界全体のホットニュースを事前にリサーチする
②先輩インタビュアーのログを累計50時間視聴し、魅力を引き出せているインタビューの傾向を掴む
③事前ロープレの動画を見返し、相手の立場で再度原稿を考える
その結果、「インタビュアーの質が高いのでサービス継続したい」との反応をいただくことが出来た。
また自身の動画が後輩研修の参考動画としても活用されており、運営企業・担当企業ともに貢献できたことは非常に大きなやりがいとなった。
この経験から、自身の課題に真摯に向き合い愚直に改善に向けた行動を取ることが目的達成のために重要だと学んだ。

<人事評価>

1:論理性・納得感

「目的・目標」と「結果」、「課題」と「行動」の繋がりが明確で論理的な構成になっています。

目的・目標

「学生インタビュアーだからこその視点で企業情報や魅力を引き出し、関係者の期待以上の成果を出すこと」

結果

担当企業:「インタビュアーの質が高いのでサービス継続したい」

運営企業:自身の動画が後輩研修の参考動画としても活用されている

課題

「情報不足から表面的な質問にとどまっていること」「質問の意図が不明瞭なこと」

行動

「当該企業情報に加えて、業界全体のホットニュースを事前にリサーチする」「先輩インタビュアーのログを累計50時間視聴し、魅力を引き出せているインタビューの傾向を掴む」「事前ロープレの動画を見返し、相手の立場で再度原稿を考える」

2:再現性・行動原則

背景が明確で根拠を持って行動することができています。

また、課題を確り振り返り次のアクションを取れているため、ビジネスにおいても目的達成に向けて成長する姿がイメージできます。

なぜその課題を発見できたのか?

闇雲に行動に移すのではなく、インタビュー動画を繰り返し見返すことで自身の課題を探す努力をしている。

なぜその行動を選んだのか?

上記から発見した自身の課題「①情報不足」「②質問の意図が不明瞭」それぞれに対して「①情報のリサーチ」「②先輩のログから傾向を掴む」「②相手の立場に立原稿を考える」と行動の根拠がはっきりとわかる。

なぜその結果を得られたのか?

挫折を成長のチャンスと捉え、自身の課題に真摯に向き合う姿勢は、ビジネスシーンでも活躍する期待を持てる。

ガクチカ例文②

私は企業人事を対象とした“有給インタビュー活動“に、【圧倒的当事者意識】を持ち2年間に渡り注力しました。
人材企業の運営する“インタツアー”というサービスを通じ、累計100社を超える企業の方へのインタビュー及び記事の作成を行いました。
大学1年次の初回インタビューの際に手痛い失敗をして、強い後悔の残る結果となりました。私は「お金を頂いている以上、対象企業・運営企業にとって価値のあるアウトプットを創りたい」と決心し、以下3つの事に取り組みました。

1.	HP・IR・書籍を読み込み、1社あたり5時間超の徹底的なリサーチを行なう
2.	対象企業の魅力を最大限引き出すための明確な仮説を持ちインタビューに臨む
3.	インタビューの際は、相手に敬意を持ち、臆さずに深堀りを行なう

上記取組の結果、20社超のインタビュー企業より「自社の社員以上に会社を理解して魅力を引き出してくれた」等の高い評価を得ることができ、サービス運営企業より重要顧客へのインタビューの際に指名を受けるまでに至りました。
この経験を通じ【強い当事者意識を持ってやり抜くこと】により、自身が成長でき、大きな達成感を得られることを学びました。

<人事評価>

1:論理性・納得感

結論(ストーリーの概要+アピールポイント)→課題→考え/想い→行動→結果

上記の構成で初見の方でも理解しやすいよう分かりやすい流れで書かれています。

また行動の起点となる「想い」も明確に書かれているためどういった考えの元、行動に至ったのかのイメージもしやすい文章になっています。

2:再現性・行動原則

文頭から「圧倒的当事者意識」という再現性のあるアピールポイントが明確に示されており、上記の強みを裏付ける行動(量)も示されているため「ウチでも同じ熱量で行動してくれるだろう」というイメージを持たせることが出来る内容になっています。

3:定量的な表現

全体を通じて定量的な表現で具体的に記載されているため、読み手は具体的なイメージができる文章になっています。

  • 「2年間」→物事を継続した期間が分かる数字
  • 「100社を超える」→具体的な実施回数をイメージできる数字
  • 「1社あたり5時間超のリサーチ」→活動量を具体的に示す数字
  • 「20社超のインタビュー企業より」→結果を客観的に示す数字

「20社超のインタビュー企業より」→結果を客観的に示す数字

以上、ガクチカを書く上で抑えておくべきフレームワークに加えて人事視点の評価ポイントを例文に合わせて紹介しました。

企業人事は、経験そのものではなく”何を考え””どのように取り組んできたか”のプロセスを知りたいと考えているので、「過程」を伝えることを意識してみましょう。

インタツアーは、社会人になる上での重要な学びの機会が盛り沢山です。

またこれから就活を控える学生の皆さんは、是非活用してみてください。

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