
4月1日は、ほとんどの企業で入社式が行われます。これから社会人として新しい生活に向けて、期待と不安に胸を膨らませている新社会人も多いはず。その第一歩を踏み出すにあたり、ほとんどの企業で行われるのが新卒入社向けの初期研修・新人研修です。
就職活動時に研修について企業側からある程度の説明は受けているものの、学生時代でまったく経験がないことに対し、「研修ってどんなカリキュラムがあるのかな」「急に厳しく指導されたらどうしよう」など、不安を感じている人も少なくないでしょう。中には1日も早く現場デビューし、ビジネスパーソンとして華々しい活躍を夢見ている人もいるかもしれません。そこで今回は新卒研修について解説を行うことで、社会人として確かな一歩を踏み出してほしいと思います。
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新卒研修ってなぜ行うの?
一般的に新卒研修が行われる最大の理由は、『学生気分を払拭し、社会人として活躍するための基礎をつくる』ことにあります。具体的には、主に以下の目的において実施されています。
社会人としてのマナーやスキルを習得する
どのような業界において、いかなる仕事においても、必ず上司や先輩、そして取引先など多くの人と関わる機会が発生します。しかもその相手も一般社員から役職者まで幅広く、親以上の年齢の人とのコミュニケーションを行うことも十分考えられます。その時に社会人として取るべき言動や所作について、基本的なことから学ぶ必要があります。
会社の事業を深く理解し、自分の役割を認知する
就職活動で企業研究を行っているから、会社の事業内容について理解していると考えるでしょうが、実は事業の全体像まで把握できているケースは意外と稀。表面的なことだけではなく、業界内でのポジショニングや社会への影響力・貢献性、企業理念、さらにこれから目指していくビジョンまでを深く知ることで、組織における自分自身の役割を理解することができます。新人として何を求められているか、どのような目標に向けて業務を行うかを認知することで、これから先に向けてのモチベーションアップをはかります。
実践的なスキルやマインとセットを習得し、早期戦力化をはかる
少子高齢化に伴う人材不足が慢性化する現代において、社会人経験のまったくない状態で入社してきた新人社員を育成し、1日も早く戦力化することを経営課題に掲げる企業も少なくありません。まずは新人として必要な業務スキルを身につけさせ、実務を行いながら先輩や上司からマインドセットを教わります。中には業務で必要な資格取得に向け、講習会などを行う企業もあります。
新卒研修ってどんなことを学ぶの?
企業によって研修内容に多少の違いはありますが、一般的には以下のことについて学びます。
ビジネスマナー
実際に社会人としての振る舞いや所作において、基本的な知識やノウハウなどを学びます。具体的には組織のルールや身だしなみ、挨拶、言葉遣いや話し方、電話応対、名刺交換、ビジネス文書の書き方などを身につけていきます。コロナ禍を機に急速に普及した、オンライン会議におけるマナー研修を行う企業も増えています。
ビジネススキル
今ではあらゆる業務で必須となっているワープロや表計算、プレゼンテーション資料作成に関するPCスキルから、スムーズにビジネスを動かしていくためのコミュニケーションスキル、エンジニアをはじめとする専門職などで求められる技術的なスキルなど、研修終了後に問題なく現場で活躍するための基礎を習得します。
コンプライアンス
ここ数年で頻繁に耳にすることの多くなったコンプライアンスは、これから企業が健全な成長をはかる上で避けては通れないもの。直訳すると法令遵守という意味になりますが、現在のコンプライアンスは社会的規範や企業倫理、就業規則を守るという意味も含まれます。情報セキュリティやSNS炎上対策も、コンプライアンス研修で学びます。
新卒研修ってどうやって行われるの?
実は新卒研修は様々な手法を用いて行われており、企業によっては独自のカリキュラムを実施するところも増えています。この項目においては、代表的な手法について紹介していきます。
セミナー・講習会・ガイダンス
初期研修として行われる手法の代表的なもので、社内の会議室や外部の研修施設などに新卒社員を集めて行われる座学が中心となります。社内から選出された先輩や上司、または外部招聘による講師が集団指導を行いますので、社員間における知識量のバラツキを抑えることが可能となります。
OJT
On-the-Job Trainingの略称で、先輩や上司の指導を受けながら実務を行うことで知識やスキルを学ぶ手法です。商談や打ち合わせなどにも同席する機会も多く、わからないことがあっても先輩や上司に直接質問できるなど効率的に人材育成がはかれるので、現在は多くの企業でOJTが導入されています。
グループワーク
複数名のグループを編成し、一つのテーマについてディスカッションを行い、意思決定からプレゼンテーションまで行う手法です。これはチームワークで業務を進める事業や職種において行われることが多く、協調性や役割分担などに関するスキルを身につけることができます。
ケーススタディ
仕事を行うにあたっては、誰しもが何かしらのミスや失敗を起こす可能性を孕んでいます。ビジネスにおけるハプニングやトラブルについて、企業はこれまでの経験に基づいた対処法を蓄積しています。過去の事例から起こりうるリスクに対し、どのように対処すればいいかなど、臨機応変に行動するためのスキルや知識を身につけることができます。
ロールプレイング
営業職や販売職など、お客様対応が求められる職種で多く行われる手法です。頻繁に起こる場面を想定し、指導役がお客様役を演じながらトークスキルを磨いていきます。一通りのコミュニケーションを行った中で気になる部分、よかった部分などをフィードバックすることで、実践的なスキルを身につけることができます。
自己啓発
専門職の中には業務上、資格や免許が必要なものもあります。特に国家資格の類においては資格取得に向けた勉強会やe-ラーニングなどの外部研修などを導入し、費用面も会社が全額支給するなどのサポートを行います。この学びの機会を設けることにより、自ら成長するための行動力などを養います。

学生気分はNG!新卒研修の落とし穴
まだ右も左もわからない立場であっても、すでに社会人としての第一歩を踏み出している状態。学生時代では多少のことであれば許されてきたことも、社会人となれば絶対に許されないケースも珍しくありません。そこで新卒研修を受ける際に陥りやすい注意点について紹介していきます。
実はまだ本採用ではない
社員として採用されているのだから安心、というわけにはいきません。大概の場合、入社して数ヶ月間は『試用期間』での雇用であり、その間での立ち振る舞い如何によっては採用が取り消されることも十分考えられます。試用期間は研修期間と同じ3ヶ月から6ヶ月間が一般的ですので、いくら研修中であっても社会人として真摯な対応を行う必要があります。
時間ギリギリは遅刻同然
学生時代は始業時間に間に合えば出席となりますが、社会人になるとそういう訳にもいきません。多くの会社では朝礼など仕事前に部署ごとの情報共有を行ったり、始業時間に業務をスタートさせるための準備を行ったりと、定時よりも早めに出社することが求められます。研修も勤務の一環として行われるものですので、30分前に到着するなど余裕を持った行動を心がけましょう。
最低限のマナーを忘れずに
研修でビジネスマナーを学ぶとはいえ、周囲に対して無礼な態度を取るような常識はずれの行動は大きなマイナスとなります。特に同期同士においてはまだお互いに素性を知らない状況ですので、いきなりフランクなコミュニケーションをすることは控え、できる限り丁寧な言葉遣いでコミュニケーションをはかるようにしましょう。
休憩時間は自由時間とは限らない
研修中はプログラムの合間に5〜10分程度の休憩を挟んだり、60分の昼食時間を設けていたりします。ただし、学生の時のような自由行動に充てることは不可能です。休憩時間に電話やLINEなどで外部へ連絡を取ること、研修会場の外に出て外食することはほとんどできないと考えておきましょう。会社側の指示に従い、ルールに準じた行動をすることも研修の一環と捉えておくことが無難です。
些細なことが迷惑行為となる
学生時代も授業を受ける際にスマートフォンをマナーモードにしたり、ノートPCの音声をミュートにしたりと、周囲に対する配慮を行ってきた人も多いはずです。研修においても同様なのですが、実はオフィスにおいても着信音などはそこで働く社員たちへの迷惑にもなります。その場の空気を壊さないためにも、周囲に対する配慮も忘れないようにしましょう。
新卒研修を無事に乗り切るための対策法
新卒研修は社会人としての基礎をつくり、デビューに向けての準備期間となります。3ヶ月から6ヶ月の期間を無事に乗り切るためにも、以下のことをしっかり守るように心がけましょう。
早寝早起きを徹底する
研修開始時間は就業時間に準じているケースがほとんどですので、それに遅れるということだけは絶対に回避しなければなりません。余裕をもって行動できるよう起床時間を早めに設定し、夜も睡眠時間を確保できるよう早めの就寝を心がけましょう。
交通情報に気を付ける
最短距離で通勤ルートを設定するでしょうが、できるだけ時間に正確な交通機関を利用するようにしましょう。とはいえ天候や不測の事故などで遅延するケースも考えられますので、30分前に到着できるダイヤを事前に調べたり、天気予報などで情報収集を行ったりする癖をつけるようにしましょう。
好印象を与える服装や態度を心がける
朝の準備に時間を取られ、シャツやブラウスのしわや汚れ、髪型やメイクに配慮が及ばなくなる可能性も出てきます。しかし、社会人としての最低限のマナーとして『相手に不快感を与えない』とある以上、清潔感のある身なりには十分気を配るようにしましょう。
元気さ、明るさをアピールする
挨拶は社会人としての基本。特に明るく元気な声で行う挨拶や返事は相手に好印象を与えるだけではなく、研修会場の雰囲気も和やかにする効果があります。また、自分自身のモチベーションを上げる効果にも期待できるので、常に前向きな姿勢を心がけてください。
報・連・相は意識的に行う
社会人の取るべきコミュニケーションの代表として、報告・連絡・相談の3項目が挙げられます。研修期間においても講師や先輩・上司に対して、何かあればすぐに報告や連絡、相談することを心がけましょう。特に相談についてはまだ何も知らない状態であるため、質問も含めて積極的に行うようにしましょう。先輩や上司もやる気を感じて、真摯に対応してくれるでしょう。

頑張れ新社会人!インタツアーも応援します
新卒研修はいかなる場合においても必ず受けなければならないだけに、様々な注意点や対策を知ったとしても『本当にうまくやっていけるだろうか』という不安は払拭しきれないかもしれません。しかし、その不安や緊張は社会人として成長するための最初の試練であり、それを乗り越えた時にこれから長く続く社会人生活に向けて、確かな一歩を踏み出させる自信にもつながります。 そんな社会人生活をスタートするためにも、私たちインタツアーは就活生だけではなく、新卒社員の頑張りを応援します。