キャムコムグループのホールディングコーポレーションとなるのが、株式会社キャムコム。他社買収に頼らず純粋にオーガニックグロースを重ね、グループ全体で2385名の社員(※派遣スタッフ除く)、169の拠点で1292億円を売り上げるまでとなったまずまずの企業なわけですが(※数字はいずれも2023年3月末現在)、そもそものネームバリュー、そして「何をやってるどんな会社なのか?」というのは今ひとつ知られていないかもしれません。
そこで今回は株式会社キャムコム代表取締役の宮林利彦氏に、学生インタビュアーが「で、結局どんな会社なんですか?」ということを根掘り葉掘り聞いてみることにしました!
社長は「ミサイル迎撃システム」も作っていたバリバリの理系?
――本日はどうぞよろしくお願いいたします。「キャムコムグループってそもそも何をやってる会社なの?」とか、「入社したら成長できる?」「待遇は?」など、お聞きしたいことは山ほどあるのですが、その前にまずは宮林社長のご経歴をうかがってもよろしいでしょうか?
株式会社キャムコム代表取締役 宮林利彦(以下、宮林):よろしいですよ! ええと私は長野県出身で、出身大学は横浜国立大学。理工学部で、専攻は機械工学です。卒業後は長野日本無線株式会社というエレクトロニクスメーカーに就職し、そこで23年間、開発の実務やプロジェクトマネジメントなどを担当していました。そして今から18年前、45歳のときに、キャムコムグループの前身である「株式会社綜合キャリアオプション」に誘われて転職を決めた――といったところですね。
――バリバリの理系なんですね! 長野日本無線さんではどんなモノの開発やマネジメントをやってらっしゃったんですか?
宮林:多岐にわたりますが、官庁からの依頼が多く、特に防衛庁(現防衛省)関係のプロジェクトが多かったですね。ミサイルを迎撃するレーダーシステムなども作ってましたよ。
――げ、迎撃システム! ……フェーズドアレイレーダーとかを作ってらっしゃったんですか?
宮林:お詳しいですね(笑)。まぁ詳細は申し上げられませんが、沿岸にレーダーを設置したり、その評価のために航空自衛隊さんに飛行機を飛ばしていただいたりと、まぁいろいろなことをやっていました。
キャムコムはテック企業? それとも文系寄り?
――社長さんが横浜国大理工学部のご出身で、その後は「ミサイル迎撃システム」の構築もされていたということは、キャムコムグループさんはHR(Human Resource)領域の事業会社であると同時に、「バリバリのテック系企業」と思ったほうがいいのですね?
宮林:うーん、どうでしょうか。いやもちろん当社が人材領域全体の課題を、デジタル技術によっても解決しようとしている会社であることは確かです。しかし当社のデジタル技術は「テックのためのテック」というニュアンスではなく、あくまでも「人が幸福に生きるためのテック」であると考えているんですよ。
――……どういうことでしょうか?
宮林:人は何のために生きるか――という設問に対しては、さまざまな答え方ができると思います。「食べるため」「種の保存と繁栄のため」など、いろいろな解答があり得ますよね。
――「素敵な恋をするため」……というのもありますよね?
宮林:それもあるでしょう(笑)。しかしながら特殊な場合を除き、ほとんどの人間は私を含めて“仕事”に、1日の時間の多くを投じています。その意味では「生きること=仕事をすること」と定義したとしても、決して間違いではないでしょう。
――私はまだ年齢的に“仕事”というモノに対してピンときてはいませんが、そうなのかもしれませんね……。
宮林:しかし今、そして今後も、「人が仕事をする」というごく当たり前のことが、実は当たり前にできない場合も多いわけです。さまざまな事情により短時間しか働くことができない方もいらっしゃいますし、例えば身体の障害などのため、ご自宅から外に出づらい方もいらっしゃる。そういった方々は、現在ある既存の仕事となかなかうまくマッチングしません。
――確かに。そのほか「シニアの方は現状、労働集約型の低賃金業務をするしかない場合が多いので、せっかくの経験が活かせない」みたいな課題もありますね?
宮林:おっしゃるとおりです。またそのほかでは海外から日本に来た人が、“働く”という人間としての基本行為を行いづらい――という現状もあります。そういった課題を解決するために、ちょっとクサい言い方をお許しいただけるなら「ひとりひとりが、それぞれの生き方に応じて適切に働くという“幸福”を、ひとりでも多くの人にご提供するため」に、当社の事業はあるのです。そして、それを実現させるための大きな一助として“テック”がある――という順番なんですよ。
――なるほど……。正直申し上げますと、本日インタビューさせていただく前は、御社のことは「フツウの人材派遣会社」としてしか認知しておらず、大変申し訳ございません。以後、認識をあらためます。
宮林:いえいえ、人材派遣業も行っていることは確かですから、謝っていただく必要はまったくございません。ただ、「なるべくたくさんの人員を現場に送り込んでナンボ!」みたいな企業ではないことがおわかりいただけたら、それで十分です。
1、2年生のうちからテック系の勉強を始めたほうが有利なのか?
――私自身は、将来的にいわゆる総合職系の道に進むか、エンジニア系の仕事につくべきか、決めかねています。ただ、エンジニア系のほうが生涯賃金は高そうですから「やっぱエンジニアかな?」とも思っているのですが……どうでしょう、今のうちからエンジニアリングの勉強に励んだほうがいいと思われますか?
宮林:いや、思いませんね。
――そそそ、そうですか! 秒での即答ですが、なぜでしょう?
宮林:もちろん、もしも純粋に素直な思いから「エンジニアリングの勉強がしたい!」と思うのであれば、やっていいと思います。しかし「将来のため……」みたいな感じで無理にやろうとするのであれば、あまり意味がないと思うんですよ。
――そんなもんですかねぇ?
宮林:そんなもんですよ。「今生きているその瞬間を、一生懸命生きる」ということに専心することが、ゆくゆくは一番役に立つはずです。あくまで例えばですが、もしもあなたが大学で「民法」を履修しているのであれば、その内容をしっかり理解できるようにちゃんと努力する。もしもサークルの部長になったなら、大変かもしれませんが、しっかりと全力でやりきる。
……社会に出ればおわかりになるかと思いますが、いろいろな物事って“共通”する部分が非常に多いんですよ。そして、自分で努力して手に入れた“基本”は、物事が共通しているがゆえに“応用”がききます。ですから、お若いうちは「自分はあの時ちゃんと努力をした。ちゃんと“生きた”のだ」と後々言える人間になるほうが、目先のエンジニアリングの勉強を少々すること以上に、将来的には効いてくると思いますよ。
――ううむ、宮林社長の含蓄のあるお言葉を聞いていると、なんだかちょっと本気でキャムコムグループさんに入ってみたくなったかもしれません。……最後の質問になりますが、御社に入社すれば、私も成長できますかね?
宮林:最近のお若い方は“成長”という言葉がお好きですね! 私自身は「……成長って、具体的には何のことだろう?」と、ついつい理系マインドで考えてしまいますが、もしも「成長=一人前になること」と定義するのであれば――ええ、早めに成長できると思いますよ。弊社の総合職でおおむね3年間がんばれば、周囲の人々から信頼され、そして周囲の人々に価値と歓びを提供できる「一人前の人間」になれている可能性は、きわめて高いでしょう。
――「一人前」、私でもなれそうな気がしてまいりました……たくさんの失礼な質問に対する真摯なお答えとアドバイスをいただき、本日は本当にありがとうございました!