-企業まる見え!特捜部

物流は不人気? いやいや、物流&専門商社の“二刀流”で社会を支えるってなかなかに魅力的じゃないですか?

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今回注目する企業ならフェルミ推定などしなくても日本の電柱の数をリアルに把握しているかもしれない。その名も東電物流。東京電力グループとしてこれまで40年以上に渡り電力の安定供給を物流の面から支えているのだが、学生には全く知名度がない不思議な企業だ。実際、どのような人が何を思って働いているのか。昨今課題とされる脱炭素化・エネルギーシステムの分散化・災害対策にも取り組み、さらには、専門商社的な動きもしているとか。こんな面白い企業は、もう、徹底取材だ!

東京電力グループで唯一の物流会社とは何をする会社?

——西川さん、今日はよろしくお願いします。早速ですが、東電物流とは、そもそも「何をしている会社」なのでしょうか? 噛み砕いて教えていただけますか。

西川:まず、「電気の通り道」を構成する部品のロジスティクスを得意分野としている物流会社です電柱や電線、変圧器、各種金具、ブレーカー、メーターなど、「電気の通り道」には多種多様な部品が用いられています。

——正直、わかるようなわからないような……。身近ではないモノですもんね。

西川:なるほど。でも、本当にそうでしょうか? 電柱に、電気のメーターですよ? 誰の身の周りにもあるのでは?

——あっ、たしかに!

西川:面白いエピソードがあります。東電物流に新卒で入社すると、みんな電柱を見ながら歩くようになります。なぜなら製品名を覚えるのがだんだん面白くなってくるんです。これはほんとです(笑)。電柱を見上げながら、「あれは、昨日運んだあの部品だ!」なんて考えるようになる。まさに「上を向いて歩こう」ですよ。

西川 剛(にしかわ たけし)1997年4月入社。東電物流株式会社 本社 経営企画本部 総務部 総務グループマネージャー 兼 労務人財グループ(採用担当)。 社長直轄のプロジェクト組織「バリューアップ委員会」採用プロジェクトチームリーダー。最近の趣味は、おいしいコーヒーを丁寧に淹れて飲むこと。

——「歩きスマホ」どころじゃないですね!「歩き電柱」(笑)

西川:本当にそうですね(笑)。意外に身近なものを扱う、ユニークな会社なんですけどね(笑)。東電物流って社名に「物流」が社名に付いているからか、新卒就活生からネガティブなイメージを持たれて、なんというか……損している気がしています。

——就活生にとって、人気のある業界、とは言えないかもしれませんね。

西川:そもそも私は物流業界に対するネガティブなイメージについて、業界全体としての課題を感じているんですよね……。まあそれはさておき、そもそも東電物流は物流機能だけではなくて、メーカーからの部品の“調達”で2,000種類以上に及ぶアイテムを倉庫で管理する“保管”、実際に工事を行う現地まで運ぶ“配送”を一貫して手掛け、電力の安定供給を支えています。さらに、使い終わった物のリユースやリサイクルなども当社の役割です。

——リサイクルまで?

西川:そうです。SDGsという観点が生まれる前から私たちが取り組んでいることです。そもそも、現代社会に生きる人々にとって、電気のない暮らしは想像するのが難しいのではないでしょうか? 電気を送り届ける電力用資機材を提供する物流は、まさに「誰かのあたりまえを守る」ことにつながっていると私たちは自負しています。その“あたりまえ”を守るための方法のひとつとしていち早くリユースやリサイクルを取り入れてきました。

——ありがとうございます。では短期的にはどういったビジョンをお持ちなのかをお聞かせください。

西川:1~2年後のビジョンとして、強化したい方針が4つあります。

1.東電グループ・電力関連業界という枠を超えて、さらに多くのお客さまに価値を提供する「外販営業」を強化すること
2.既存の業務を高効率化し、「外販営業」向け要員を創出すること
3.倉庫をスッキリ化・スマート化し、東電グループだけでなく一般のお客さまの荷物もお預かりできるように、あわせて倉庫内を自動化・省力化すること
4.社会に貢献するためのミッションは維持しつつ、低コスト化やニーズに応じたサービスなど付加価値の提供も行うことで、競争力を強化すること

——まだまだお聞きしないと理解が追い付かないので……更にお聞かせください!

インフラ業界向けの「モノタロウ」を目指していると言いつつ、ここだけの話…「専門商社」的な動きをしています。

——なんとなく感じるのですが、短期的ビジョンは、中・長期的ビジョンへの布石ですよね?

西川:そうです。いずれも、「誰かのあたりまえを守る」というミッションを、電力だけの領域からインフラ全体・社会全体へと拡張していくための取り組みです。中期的には、サプライチェーンの受注から物流業務の全体受注を実現し、事業領域を拡大すること、そして集配送エリアの全国展開を視野に入れ、事業展開エリアを拡大することを目指しています。このふたつの拡大を実現することで、グループ外のお客さまへの売り上げ倍増を目指します。また長期的には、電材や再生可能エネルギー関係の商材バリエーションをさらに増やし、国内だけでなく海外からも調達し、保管・在庫管理・配送はもちろん、緊急時には迅速に資材配送を行う、インフラ業界向けの「モノタロウ」の実現を目指しています。この記事を読んでくださっている就活生は、あえて「Amazon」と言わない意味はわかってくださいますよね?

——主に「Amazon」はToCで、「モノタロウ」はToBという意味ですよね?

西川:その通りですね。

——情報感度の高い就活生には、「モノタロウ」は刺さりそうなワードです。「Amazon」よりも、むしろ。では、もし「インフラ業界向けのモノタロウ」が実現したら東電物流が描く世界はどのように変わるのでしょうか?

西川:とても良い質問ですね。例えば災害時であっても必要なモノを必要なだけ調達し、必要な場所に、安全かつ効率的に運べるんです。

——と、言いますと?

西川:東電物流って根本は電柱のように大きなモノを運ぶ使命を得た会社なんですよね。そして、災害時には被災地への輸送ルートは制限されるんです。そんな時、物流網は混乱し必要なモノが普段どおりには入ってこない状況となります。我々はこうした制限のある中で必要不可欠なモノ、例えばとても長くて重い電線や電柱などを、必要なだけ調達し、さらにそれを被災地に運べるんですよね……。

——限られたルートを効率的に使うことに、東電物流ならではのノウハウがあると?

西川:そうなんですよ。我々は過去の経験を踏まえて、必要なモノを日本全国から調達し、制限された輸送ルートを組み合わせて、安全かつ効率的に必要不可欠なモノを運びます。しかしこれは東電物流の利益だけのためではないのです。一秒でも早く電力のある日常を取り戻したいですからね、被災地の皆様に。

——災害時でも効率のよい物流ができるということは、日常はさらに高い効率でモノを運べるってことですか?

西川:はい。普段から長いもの・重いものを、効率のよい配送ルートを使って運んでいますが、この“日常的な物流”に“電気工事の現場で必要なちょっとしたもの”も一緒にお届けする事業をはじめています。電柱や電線のような大きくて重いモノ以外で工事現場に必要なモノを、まとめて買って、安く卸す事業を並走させ、お届けもしよう、ということですね。

——専門商社の側面もある、物流と専門商社の“二刀流”の会社?

西川:そうなんです。学生の皆さんが、あまりよいイメージを持っていない「物流業界」の東電物流は、実は学生の皆さんが大好きな「商社」および「専門商社」としての機能を果たしているんです。

——名は体を表すけど、別の側面もあるのですね!? 印象がガラッと変わりました。

西川:それはよかったです(笑)。電力の供給に限らず社会貢献度が高いことをしたい人が集まり、それを実践しているのが、東電物流の大きな魅力かなと私自身思っています。つまり、それが社会に必要で、自分たちが得意であればやる、そういう文化なんです。

東京電力からの出向組はいるが、無論、プロパーも出世する!

——ではではついに……いじわるな質問をさせていただいても?

西川:はい。何でも答えます。

——東電物流さんが魅力的なことはわかりました。しかし、就活や転職の口コミサイトを拝見すると、志望する学生たちが東電物流での将来を描いた際、「結局、経営層は東京電力からの出向組ばかりで、偉くなれないのではないか」と思ってしまう気がするのですが、実際のところいかがですか?

西川:手厳しい質問ですね。でも学生からの質問であれば真摯に答えないといけませんね。

——ぜひ、お願いします!

西川:東電物流という企業の性質上、東京電力から出向してくる人は、もちろんいます。そこは隠す必要もない話です。しかし、それはいわゆる天下り的なことではなく、あくまでも必要な技術継承や経営面に応じて、出向してくる人がいるということです。

——なるほど。では、プロパーのキャリア形成の成功例を教えてください。失礼な質問ばかりで恐縮ですが……。

西川:ぜんぜん失礼じゃないですよ! 就活生の皆さんが気になる質問でしょうし。現在、現場統括の執行役員はいわゆる東電物流のプロパーです。それから8つある支社のトップである支社長も全員プロパーです。また新規事業を生み出す部門の責任者もプロパーですね。

——なるほど……。転職口コミサイトの評価って難しいですね……。

西川:転職口コミサイトの声を無視する意図はないです。でも東電物流の魅力はもっと知って欲しいですね。だからこそ何でもお答えします。またネガティブな部分に関してもできる限り改善はしていきたいなと思っています。

——またかなりいじわるな質問ですが……社員の不満に対する対応も、東電出向組の経営層がトップダウンで決めているのでは? つまり意見が通りにくい、という事なのですが。

西川:なるほど、そんなイメージもありますか(笑)現在、経営課題を解決するために社長直轄のプロジェクトが複数組織されていて、その中には女性社員だけで構成されたダイバーシティ・ワークライフバランス・職場環境向上に取り組むチームもあるんです。それぞれのチームがさまざまな課題について解決案を経営層に直接提案し、それらが経営施策に取り込まれています。こうしたチームには20代・30代のメンバーも参加していますよ。

——転職口コミサイトの書き込みを見た学生って不安になるんですよね。就活生が意思決定する前に、こういう質問に答えて頂けるのはとてもありがたいです。いじわるな質問にもかかわらず、ありがとうございました。

西川:全くもって、いじわるじゃないですよ。普段のインタツアーでは聞きづらいことかもしれませんので聞いていただいてむしろ良かったです。むしろ、普段のインタツアーでも、こういう質問はもっとして欲しいです。東電物流は、何でも答えますから。

——西川さん、そのご発言。記事にしちゃいますよ?

西川:どうぞどうぞ! この記事で東電物流に興味を持ってくださった方はぜひインタツアーに参加して頂き、もっと東電物流を知っていただけるとうれしいですね。何でも答えます! お待ちしています。

——西川さん、ありがとうございました!

西川:ありがとうございます!

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