今回は不動産関連の業界を「不動産」「マンション・戸建て住宅」の2つに分けてワンポイント解説をします。
今回は「不動産業界」についての解説です。

3つのポイント

この記事では業界の最近の動きを押さえる3つのポイントを中心に解説します。

① コロナ禍でホテル・オフィス需要が大変動
② 物流需要増で物流施設の供給不足が続く
③ 不動産テックなど新しいサービスの動き

コロナ禍による需要の大変動、巣ごもり需要を背景とした物流施設ニーズ、不動産テックなど新しいサービスについて説明します。

不動産業界とは

まずは最初に「不動産業界」の概要を確認していきましょう。
不動産業界は、主に建物を建てて他の企業に貸すことで利益を得ています。

不動産=土地建物などの資産を意味しますが、広い意味での不動産業界といった場合、土地や建物の取得や管理、賃貸に加え、大型商業施設や都市区画の企画や計画といった初期段階からかかわる場合もあります。また、一戸建て住宅やマンションなどの販売も含みます。

この解説記事では、ビジネスモデルや商流の違いから、
・土地や建物の計画・取得・管理・賃貸=不動産業界
・戸建住宅やマンションの分譲販売=戸建住宅・マンション業界
と分けて説明します。

不動産業界は大きく分けて「不動産ディベロッパー」「賃貸・管理」に役割がわかれますが、一社で両方の役割を果たしている企業もあれば、グループ内などで役割を分けていることもあります。

▽不動産ディベロッパー

商業施設や賃貸ビルなど、賃貸で貸すための建物を計画段階から推進する企業です。企画マーケティングから土地の取得、建設会社への発注、完成までの進行管理などが主な役割です。大手企業としては「三井不動産」「三菱地所」「住友不動産」「東急不動産ホールディングス」等の名前が上げられます。

▽賃貸・管理

土地、商業ビルやオフィスビル、分譲・賃貸マンションなどを所有し、入居者に貸し出す企業です。自社で所有せずに、所有者から管理を委託される場合も多いです。不動産物件の仲介、不動産物件の維持管理が主要な役割です。企業によって「オフィスビル賃貸」「商業施設賃貸」「マンション賃貸」など得意とする分野をもっていることが多いです。設備の維持管理は専門の事業者(ビルメンテナンス業)いて協業しています。

不動産業界は取り扱う施設の寿命が数十年単位で、投資額も大きいため長期的な経済変動の影響を受けるものの、短期的な細かな経済変化の影響は受けにくいとされています。また、マンションなどは個人投資の対象として運用されることも多く、金融商品に近い特性も持っています。

市場の規模と変化

国内の不動産市場は2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災の影響を受けましたが2012年以降拡大し、2018年には46.5兆円規模となっています。
近年の不動産需要は首都圏を中心とする都市再開発の流れがけん引してきました。東京オリンピックやインバウンド観光の需要増も追い風となっていました。

しかし、コロナ禍の影響があり2020年以降は変動が起きています。

不動産需要を支えていたホテルなどの宿泊施設関連が低調となり、外出規制の影響を受けて商業施設も停滞しています。また、企業のリモートワーク拡大をうけてオフィススペースの需要は減少傾向がみられます。

一方で、コロナによって住居の住み替え需要が拡大し、マンション等の需要は都市部から郊外へ移りつつも堅調です。また、巣ごもり需要を受けてECが拡大しており、そのバックボーンとなる物流施設の需要は急増しています。

また、国策で低金利金融政策が続いていることもあり、投資マネーの調達が容易であることから、不動産価格は長期的に維持されると考えられます。
これらの要因から、不動産業界全体へのコロナの影響は一時的なもので、需要の変化に合わせた変動はあるものの、全体的には堅調と考えられています。

トピックス1

① コロナ禍でホテル・オフィス需要が大変動

コロナ禍のマイナスの影響としてあげられるのが、ホテル・オフィス需要の落ち込みです。
これまで東京オリンピックやインバウンド観光の拡大に合わせて高い需要が見込まれてきたホテルの需要ですが、コロナ禍による人流の大幅減を受けてニーズが大きく減っています。ホテル用に建設予定だった施設などは、ほかの用途に変更されるケースが増えました。
また、オフィス需要も減少しています。企業のテレワーク転換が進んだ結果、都心部のオフィスを縮小し郊外や地方に移転するケースが目立っています。一方でECやワクチン接種などのコールセンター・事務センター需要は一時的に拡大しており、BPOニーズでのオフィス賃貸は堅調に推移する可能性があります。オフィスビルなどを主軸にしている企業では、ニーズ変動に合わせた新しいビジネスが模索されています。

トピックス2

② 物流需要増で物流施設の供給不足が続く

コロナで需要が減少する分野がある一方で、コロナによって需要が大きく伸びている分野もあります。巣ごもり需要によって爆発的にECニーズが伸び、配送を支える物流業界からのニーズが大きく伸びています。荷物の配送を支える物流センター(倉庫+出荷を担う)は都市圏周辺部を中心に慢性的な供給不足が続いています。大規模物流センターの建設が続くなか、都市部で空いたオフィス・飲食店スペースを小規模な物流拠点として転用するケースも目立っています。物流を得意としている不動産企業もあり、今後の成長が見込まれます。

トピックス3

③ 不動産テックなど新しいサービスの動き

コロナの影響だけでなく、デジタルトランスフォーメーション(DX)の影響も不動産業界に現れています。近年「不動産テック」(Real Estate Tech)と呼ばれる新たなサービスが、ベンチャー企業を中心に提供されています。代表的なものとしては、

不動産仲介業者同士の物件情報マッチングを支援するサービス
不動産物件のメンテナンス業務を支援するサービス
オフィスなどのスペースシェアを支援するサービス
不動産投資の査定を支援するサービス

などが多数現れています。

大企業が優位な不動産業界ですが、企業間の取引や個人投資を支援する新サービスも引き続き活発になっていくと考えられます。

まとめ

不動産業界はコロナの影響を一時的に大きく受けていますが、金利政策などがプラスに働き、引き続き堅調な推移が見込まれる業界です。需要の変動に応じて新しい利便性を提供できる企業が今後成長する可能性があり、マーケットの変化を読み取れる機敏さが重要になるでしょう。就活の中で企業を見ていく際には、企業の得意としている分野やマーケティング力などに注目して企業研究を進める必要があります。

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