みなさんどうも、おジョーです。
大学生・就活生の皆さん、志望業界は決まっていますか?
僕は出版業界にしようと思っています。
幼い頃から漫画を読んでいた影響で、面白い漫画をほかの方にもっと読んでもらいたい。
だから出版業界に就職したい!!!
……ただ出版業界の倍率はとても高く、特に筆記試験は対策必須という話を何度も
聞きます。落ちたくない……。
出版業界に内定した先輩方はどんな対策をしたのでしょうか。
気になったので、実際に出版業界へ進む小山さんにインタビューをしてみました。
小山さんは出版業界の選考対策にどう取り組んだのか。
ぜひご参考程度に読んでください。
――本日はよろしくお願いします。すごい数の雑誌をお持ちなんですね。
小山さん:よろしくお願いします。少年誌は好きで全部読んでいます。おジョーさんは単行本派ですか、雑誌派ですか?
――僕は単行本派ですね。でも毎週毎週ネタバレが怖くて。週刊誌で最新話を追いかけられるのはうらやましいです。
小山さん:ネタバレはしませんよ(笑)僕は『バクマン。』(主人公が売れっ子漫画家を目指すジャンプ漫画、2012年連載終了)を読んでから編集者をやりたくなったのですが、作品内で雑誌の分析の大切さについての話があったんですね。その話を読んでからは分析のために週刊誌を集め続けて、親が捨てようとする度に「就活に必要になるから」と取り置き続けました。でも、就活中は分析用だけじゃなくて息抜きにも読み返していました(笑)
――漫画好きの性ですね。
小山さん:ですね。ちなみに単行本派の方は漫画が好きだと思いますが、僕は漫画の作品よりも漫画家が好きな感じでして。その人の作品を追いがちと言いますか、その人の前の作品から次にどんな作品が連載するのかなとか連想しています。
――なるほど。漫画家さん自体のファンになるということですね。
小山さん:雑誌を買って読んでいると、読み切りが載って、そこから連載獲得したのに打ち切りになって、でもまた本誌に戻ってくるみたいなドラマが生まれることがあります。だから、漫画家さんを応援したくなるっていうのは雑誌派だったからかもしれないですね。
――週刊誌を長く読み続けるとそういった面白みもあるんですね。
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志望動機:漫画は単なるエンタメ事業ではない!?
――出版業界に進んだ理由は漫画が好きだから、ですか?
小山さん:部分的にそうですね。もともと小学校の頃から小説が好きで、本が身近にある図書館司書などに就きたいと思っていました。その後に『バクマン。』に出会って、漫画の作られる過程を知って、漫画の編集者という職業を知ったのが出版業界を目指すきっかけになりました。
――“部分的にそう”、というと今はまた違う志望動機を抱かれたのですか?
小山さん:はい、僕は出版を文化事業だと考えて志望しました。僕は大学で日本の文化や芸能について勉強していて、落語、歌舞伎といった日本文化を事業という側面でも捉えるようになったんです。
――だから出版は文化事業、ですか。初めてそんな考え方を耳にしました。
小山さん:出版業界がエンタメに括られているのは僕の中ではちょっとだけ不本意なんですよ(笑)
――ええ?すみません、どういうことでしょうか。
小山さん:漫画や本という媒体を介して人を喜ばせる点では、出版業界はエンタメ性を備えていると思います。一方で、文化事業という側面では漫画家さんの個性的で面白い作品が生まれて、漫画家さんや作品にあこがれて次世代の後継者が誕生する。
そしてまたいい作品が生まれて、仕事が生まれて、新しい漫画家さんが出てくる。
手塚治虫先生がいたから藤子不二雄先生が出てきて、またそこから影響が広がって今の日本の漫画が形作られていったように。
――漫画が事業として成立し、文化として続いていくわけですね。
小山さん:そうです。出版文化が事業として存続していく側面に僕は魅力を感じました。漫画が生まれるまでには漫画家、編集者、営業などいろいろな関わり方があると思いますが、僕は漫画家に仕事をしてもらえる編集者として携わり、漫画文化を存続させたいです。
選考対策:自分の意見を言語化すること
――出版業界の試験は難しいと伺います。どのような選考対策をされましたか?
小山さん:SPIや玉手箱などの試験は一般的な勉強法で対策出来ると思います。それから800字の筆記試験もありました。僕はインプットとアウトプットを日ごろから繰り返していたのでそれが対策になった感じですかね。
――気になります。まずはインプットについて、何をされましたか?
小山さん:インプットは単純に本や雑誌などの読む量を増やしました。具体的には、12月~3月の間は国会図書館に朝から夕方までいて、志望企業の雑誌や年誌などの分析をしていましたね。志望企業の出版物を読めば、その企業のこれからの目標や今までの事業の歴史を勉強できます。
――企業研究と事業理解が同時に進みますね。
小山さん:雑誌によって分析の結果が全然異なるので、同じ企業の雑誌でも志望理由は変わりましたね。あとは雑誌を読むだけではなく、編集部理念についても調べました。
――編集部理念ですか……?企業理念ではなく?
小山さん:編集部理念です。自分が志望する編集部長や副編集長の方が、雑誌やWeb記事などのインタビューに答えているんですよ。そこから編集部の理解度を深めました。
例えばジャンプ+の編集長が答えているインタビュー(noteサイトの「ジャンプ・デジタルラボ/少年ジャンプ+」を参照)では、ジャンプ+の方向性や目標を語られています。ジャンプ+はワンピースを超す作品を作るぞ、みたいに結構他の編集部と競っているんですよね。で、自分はどういった貢献が出来るかアピールポイントを考えたりしていました。
――僕もその話を耳にしたことはありますが、なるほど、意外とやりたい事業内容は絞っていいんですね。
――アウトプットはどう行いましたか?
小山さん:自分が面白いと思うポイントと面白くないと思うポイント、トレンドなどをいろんな雑誌からインプットした後に、とりあえず文字に書き出すトレーニングをしていました。ノートにまとめたり、ブログをたくさん書いたり、友達に話したりっていうのが僕の対策です。
――アウトプットした内容は自分の意見だから、自家撞着になっちゃいそうですけど、他の人の意見を聞くこともありましたか?
小山さん:いえ、あまりしていないですね。感性には、別に正解はないですし。自分の今までの経験があるから今の感性が出来上がっていて、そこに対して良し悪しや間違っている、なんて絶対に言われないと思います。
先ほどジャンプ+の話をしたと思うのですが、僕も集英社の最終面接1個手前あたりで、「ワンピースを超す漫画を自分が若手漫画家を発掘して立ち上げたいです」という話をしたんです。そしたら「好きな漫画何?」って聞かれて、ジャンプで連載されている『あかね噺』(主人公含む噺家たちの物語、ジャンプ漫画、2022年連載開始)を出した時、「じゃあ『あかね噺』に編集ついたとして、どうやったらワンピースを越せると思う?」と聞かれたんです。
――ひええ、難易度が高いですって……。
小山さん:でも『あかね噺』の醍醐味、今の世の中のトレンドを踏まえた案を自分なりに伝えて、まあその話した内容は絶対に実現不可能なんですけど(笑)自分なりに自信を持って答えたときに否定はされませんでした。
――言語化できているかどうか、が大事なんですね。
小山さん:編集者は漫画家さんと作品についてやり取りしますよね。漫画家の視点だと、「自分の作品はこの人にしっかり刺さっている部分もある。面白いポイントつまらないポイントをこの人が言ってくれるなら、じゃあもっと良い漫画にしていこう。」って考えてくれます。そうやってモチベーションを保ってもらうためにも、編集者としてどこが面白いか、どこがつまらないかを言語化することは大事だと思います。
――自分の意見に軸があることが大事ということですね……?
小山さん:はい、おそらくその点を上手く評価していただけたのかなと思います。
――なるほど。ありがとうございます。
おわりに
――本日はインタビューを受けていただきありがとうございました。最後にこれから就活を迎える後輩たちへアドバイスをお願いします。
小山さん:大学1年生だったら、特別「早期で就活準備を全部終えよう」と考える必要はないんですけど、一方で自分の興味の対象をしっかり考えることは大切です。常日頃から楽しいことが身の回りにある世の中だと思うので、それをもう1歩先へ踏み込んで考えてみる習慣があると、いざ就職活動になった時にすごい楽ですよ。ぜひ皆さん、気負いせずに頑張ってほしいと思います。
インタツアー学生編集部