4月。これからの未来に期待と不安を抱えている新社会人にとって、最初に覚えなければいけないのがビジネスマナーです。新人社員研修でも真っ先に行われるカリキュラムであるほど、企業もその重要性を認識しています。とはいえビジネスマナーを教わることに面倒くささを感じたり、「言葉遣いに気をつければ問題ないのでは」と考えていたりと、ビジネスマナーの習得に前向きになれない人も多いと思います。
今回は社会人がなぜビジネスマナーを学び、身につけなければならないかを解説しながら、ビジネスマナーの重要性について紹介していきます。これから新社会人となろうとしている人も、まだまだこれからという人も、ビジネスマナーを理解することに損はありません。後で恥をかくことがないよう、しっかり覚えていきましょう。
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なぜビジネスマナーを身につけなければいけないの?
社会人としてビジネスを行うにあたって、もっとも気をつけなければならないのが人間関係です。活躍の場が社内であろうと社外であろうと、仕事を行うには必ず誰かと関わりを持たなければなりません。学生時代であれば気の合う仲間との付き合いだけで成立してきたことも、社会に出てしまえば自分より年上の人、社会的立場が上の人、これまで育ってきた環境や物事の考え方が異なる人と関わる頻度が一気に高くなります。
その時に相手に対して失礼な態度や言葉遣いを行ったり、気分を害するような服装や態度を示したりすると、最悪の場合、すべてのビジネスが破綻してしまう可能性も十分考えられます。つまりビジネスマナーを身につけることはあらゆる状況から自分自身を守ることであり、ビジネスシーンで活躍するために必要な基本スキルの一つでもあるのです。
また、ビジネスマナーを身につけてこそ、初めて周囲から一人のビジネスパーソンとして認められる存在になれます。企業側もビジネスマナー研修を通じて、1日も早く学生気分から抜け出して社会人としての自覚を持ってほしいと期待しています。ビジネスマナー研修を受ける際は、そのような背景があることを認識して臨みたいところです。
具体的にどのようなビジネスマナーがあるの?
一口にビジネスマナーといっても、様々な種類が存在します。この項目ではどのような種類があるのか、「5原則」と呼ばれる代表的なものを紹介・解説していきます。
表情
人と接する際、無表情よりも笑顔の方が好印象を与えます。軽く口角を上げて、微笑む程度であればOK。会話をする際もできるだけ明るい表情を心がけ、対応することでコミュニケーションもスムーズに進むでしょう。
とはいえ、ビジネスは変化が起こりやすいので、TPOに応じた表情を心がけることも大切です。上司や先輩から注意を受けている時やお客様からお叱りを受けている時は、神妙になりつつも相手の目を見て、真摯な表情で話を聞くことも大事です。
挨拶
対人コミュニケーションをはかる上で、もっとも基本的で大事なのが挨拶です。張りのある声で「おはようございます」「こんにちは」と言うことで、相手に対してよい印象を与えることができます。
状況に応じてはお辞儀をするケースもありますが、相手や状況に応じて頭を下げる角度が異なります。同僚とすれ違う時は軽い「会釈」、上司やお客様に対しては45度頭を傾ける「敬礼」、深い感謝や謝罪の際は90度頭を傾ける「最敬礼」と使い分けが必要です。
身だしなみ
相手に清潔感を与える服装は、対人マナーにおいてとても重要です。人は第一印象を重視する傾向がありますので、シワのない服をきっちり着こなす、ヒゲはキレイに剃るなどの行為が高い評価を獲得できると認識した方がいいでしょう。
夏場はクールビズを導入し、ノーネクタイや軽装で仕事を行う企業も増えていますが、この際もハンカチを携帯したり、制汗剤を使用したりと、発汗に伴う不快感を周囲に与えない配慮しましょう。この時期は時に服装が乱れがちになるので、特に注意が必要です。
言葉遣い
社会に出れば親よりも年上の人、同じ年代でも社会的地位の高い人と関わる機会が急増します。それゆえに、TPOに応じたコミュニケーションをはかることが求められます。丁寧語や尊敬語、謙譲語などを上手に使い分け、臨機応変な対応を行いましょう。
言葉遣いにおいては会話だけではなく、メールや資料を作成する際のビジネス用語にも注意を払う必要があります。最初のうちは慣れないでしょうが、経験を積んでいくうちに自然と言葉遣いも上手になっていくでしょう。
態度
名刺交換など目に見えることだけではなく、電話の話し方やメールの書き方一つにおいても態度が現れやすいもの。常に自分の目の前に相手がいることを想定して、謙虚で誠実な姿勢を心がけて対応していくことが大事です。
また、移動中の歩き方やデスクでの座り方など、あまり緊張しない場面は普段の態度が露骨に現れてしまいます。無意識に腕を組んだり、髪の毛に触ったりする仕草は、状況によっては相手に不快感を与えることがあるので、できるだけ意識を払うようにしましょう。
うっかりじゃ済まされない?ビジネスマナーの注意点
頭では理解していても、うっかりしてマナー違反をしてしまう可能性もゼロではありません。とはいえ、普段から気をつけていれば違反を回避できるもの。そこでやってしまいがちなマナー違反を紹介しますので、しっかり覚えるようにしましょう。
挨拶をしない
職場や商談先などに到着した際、挨拶をし忘れるのは言語道断です。すべての始まりとして挨拶することを習慣づけしましょう。
報告・連絡・相談をしない
遅刻や欠勤などの事前報告や連絡、仕事の進捗状況に関する相談など、何かあれば上司や先輩に「報・連・相」することを求める職場は非常に多いです。自分で抱え込まず、必ず誰かに話すことはコミュニケーションの基本と捉えておきましょう。
SNSなどで会社の情報を流す
会社は機密情報がたくさんありますし、中には個人情報が含まれている場合もあります。インフルエンサーを気取ったつもりが、情報漏洩の当事者になるリスクがあることを認識し、会社のことや仕事のことはSNSに載せないことを心がけましょう。
誤字脱字があるままで文書を作成する
メールも同様ですが、ビジネス文書において誤字脱字をチェックせずに放置していると、相手に要らぬ誤解を与えます。また、発注書の個数や見積著・プライスカードなどの価格を間違えると、会社に大損害を与えることにもつながります。
日常的なカジュアル言語を使う
「エグい」など普段から頻繁に使うカジュアル言語は、職場内や商談先などでは失礼な言葉遣いとして受け取られます。同時に知性のない人という印象を持たれるなど、マイナスの印象を与えるので使わないようにしましょう。
相手に圧をかけない
急を要する事案であっても、電話やメールなどで返事を急かすような行為はタブーとされています。あらかじめスケジュールが設定されていない場合は、「お手隙の際に」という一言を差し込むなどの配慮が必要です。
派手なコーディネートはしない
今は髪の毛を染めることに寛容になっているものの、明るすぎる髪色は敬遠されがちです。アクセサリーも仕事の邪魔になるケースがありますし、メイクなども強い香料を使用しているものはニオイに敏感な人には苦痛となります。できるだけ控えるようにしましょう。
カジュアルファッションは言語道断
スーツの着こなしをアレンジして、カジュアルウェア同様にルーズさを演出するのはだらしなさしか表現できません。必要以上にボタンを開ける、ネクタイをわざと緩めっぱなしにする行為は個性でも何でもありません。すぐにやめましょう。
案内されない限り上座には座らない
会議の席や宴会での席のほか、エレベーターやタクシーの座り位置には上座と下座があります。普段は立場の高い人が上座に座るもので、新入社員が上司や先輩を差し置いて上座に座るのはタブー。案内されない限りは、下座を選択するようにしましょう。
間違った言葉遣いをする
丁寧語や尊敬語、謙譲語の使い方を間違えている人は意外と多いと言われていますが、それでもTPOを考慮しない言葉遣いは確実に相手を不快にさせます。上司や先輩の話し方や文章の書き方などを参考にするなど、普段から間違いのない言葉遣いを意識しましょう。
ビジネスマナーを守って充実した社会人ライフを!
規則であるルールと違い、マナーは守らなかったとしてもすぐに懲罰処分になることは少ないです。しかし頻繁にマナー違反をしたり、注意しても改善しようとしなかったりという行為は、確実に周囲からの信頼を無くしてしまいます。ルールのように明文化されていませんので、自分自身お意識づけや心がけが重要になります。
そもそもビジネスマナーは「相手を敬う」「相手を思いやる」「相手に感謝する」という心構えさえあれば、ほとんどのケースで違反することはないはずです。1日も早く学生気分から抜け出し、社会人としての自覚を持ち、これからの長いキャリアを歩んでほしいと思います。