社会人としての毎日は学生時代とは打って変わり、あらゆるところで大きな違いを感じるものです。生活リズムから人間関係、今までになかった責任、様々に課せられる社会的ルールやマナーなど、慣れないことの繰り返しがストレスとなり、いつしかメンタル面での疲労感を覚えてしまう。実はその不安を抱えている新社会人、または入社を控えた内定学生も少なくありません。
いかに毎日のストレスを感じることなくメンタル面での負担を軽減させていくか、その対策を講じることはこれから長い社会人生活を送る上でとても重要なポイントとなります。今回は新社会人が取るべきメンタルヘルスにおける対策について、様々な視点から解説していきます。
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新社会人は本当にメンタルが弱いのか?
厚生労働省の『令和5年 「労働安全衛生調査(実態調査) 」の概要』(※注)によりますと、20代の72%が「現在の仕事や職業生活に関することで、強い不安やストレスとなっていると感じる事柄がある」と答えています。
つまり、若手層の社会人の多くが不安やストレスを感じながら、毎日の社会人生活を送っているわけです。その状況のもと新卒で入社した新社会人が、最初からメンタルが強いわけがないのです。むしろ、経験したことのないことの繰り返しによってストレスが蓄積されて、メンタル面の不調につながっていくと考えられます。
(※注)https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/r05-46-50_gaikyo.pdf#page=16
誰だって経験したことのない環境に飛び込んでいくのは不安が大きいですし、ついつい病んでしまうような状況に陥りかけるのも不思議ではありません。だからといって闇に堕ちるようなことにならないよう、メンタルが不安定になる原因を特定して解消することに取り組んでいきたいです。
メンタル不調の原因として考えられることは?
メンタル不調の大きな原因となるストレス。それを感じるポイントは人それぞれによって違いがあり、環境面においては考えられる原因は様々あります。この項目では一般的に考えられているストレス発症の原因を紹介し、どのようなリスクがあるのかを解説していきます。
環境
学生時代は多くの時間を大学などのキャンパス、そしてサークルやアルバイトなどプライベートが中心の生活環境だったと思います。社会人となると多くの時間を会社や仕事に費やすことになりますし、移動においても朝夕の満員電車などに遭遇することも増えていきます。こうした環境の変化は無意識にストレスとなることが多く、学生時代を思い返すたびにメンタルに不調をきたす要因にもなります。
人間関係
これまでは自分と気が合う仲間と一緒にいる時間が多く、ほとんどの場合が同じ趣味嗜好の同志で集まっていたはずです。ところが会社組織は自分に都合のいい人たちばかりではなく、自分より目上の人たちばかりと同じ時間を過ごさなければなりません。企業によってはフラットな上下関係をうたうところもありますが、それでも言葉遣いや態度などの基本的マナーは存在します。そこに気を遣うことにストレスを感じる人も少なくありません。
仕事への対応力
新社会人となった以上、仕事に対する責任が生じます。最初のうちは簡単な作業からスタートするでしょうが、徐々に仕事の内容が大きくなり、さらに目標を設定されることによるプレッシャーもかかるようになります。事前に研修やトレーニングを受けていても、失敗に対する不安を拭い去ることはなかなかできないでしょう。同期と差がつくようになると焦りも感じるようになり、負のスパイラルから抜け出しにくくなるかもしれません。
将来に対する不安
就職活動時ではキラキラ輝いているように見えた会社や職場も、実際に入社してみたらイメージと違っていたというケースもあります。オワコン傾向にあるかどうかについては、なかなか事前の判別がつきにくいもの。実は経営面で大きなマイナス要因があった、事業戦略が社会情勢の変化に対応できていないなど、本当にこの会社で大丈夫なのかという不安を感じることもメンタル不調の原因になります。
メンタル不調やストレスを回避するには?
原因がわかったら、次にどのような対策を講じればいいか。いくつかの対処法を紹介しますので、ぜひ実践していただきたいと思います。なお、新社会人としてデビューされた方だけではなく、これから社会人を目指す学生も参考にしてください。
規則正しい生活を送る
ほとんどの企業が出社時間を定めていますので、その時間に間に合うように起床して準備をし、決まった時間の電車やバスに乗るというルーティーンを確立することが求められます。1日のタイムスケジュールを事前に決めた上で、その時間通りに生活する習慣を身につけましょう。
健康管理を徹底する
どのような仕事であっても、体調が悪ければメンタル不調にもつながります。毎回の食事がインスタントやファストフードなどに偏っていないか、睡眠時間は十分足りているか、インフルエンザの流行期に予防接種を受けているか、定期的な運動を心がけているか…などの対策は重要。過食や深酒はしない、体調が悪ければすぐ病院に行くなどの行動も大事です。
社会人マナーを身につける
上司や先輩など、職場内のコミュニケーションに不安を感じている場合は、挨拶や態度などのマナーを身につけて実践することで解決するケースが多いです。職場の人間関係を円滑にするには、みんなから可愛がられるような関係をつくることが近道。とはいえゴマを擦るなどの行為は却って反発を招くので注意しましょう。
過大評価も過小評価もしない
同僚は成績を上げているのに、自分は思うような結果が出ないからといって、自分を卑下すること必要はありません。社会人1年目で結果が出ないのは当たり前で、そこを気にしてメンタル不調をきたすのは自滅行為とも言えます。今の自分を冷静に見つめ、必要であれば周囲へ相談してアドバイスをもらうことも必要です。
趣味を見つける
ストレスを解消する上でもっとも効果的なのが、日常を忘れさせてくれる趣味に没頭することです。学生時代からの趣味でも構いませんが、社会人となればできることも増えるはずです。旅行に出かけたり、スポーツをはじめたりと、未体験のことに挑戦すればより大きなリフレッシュ効果が得られるでしょう。もしかしたら、新たな出会いがあるかも?
でもやっぱりしんどい…そんな時はどうするの?
自分自身で対策を講じても、職場環境や事業展開などによる影響を受けることで大きなストレスが生じ、メンタル不調を感じる場合もあります。その時にはどのような対応をすればいいか、いくつかのパターンを紹介します。
あえて現実を受け入れてみる
イメージと異なる職場だったとしても、それが現実であることを受け入れる必要があります。とはいえ無条件に受け入れるには抵抗があると思いますので、身近な先輩や上司と相談することをお勧めします。どのようにすれば現実を受け入れ、社会人として活躍できるかの糸口が見つかるでしょう。開き直りのヒントも得られるかもしれません。
自分を見つめ直す
劣等感を抱くことはストレスになりやすく、嫉妬心が芽生えるとメンタル面で悪い影響を受けてしまいます。社員同士で競わせる職場だとしても、結果は努力の積み重ねによって得られるもの。必要以上に他人を意識せず、自分自身を見つめ直した上で今をどうするべきかを考えるのがいいでしょう。
生活環境を変えてみる
片道2時間はツラい、満員電車に乗るのはどうしても慣れないなど、通勤のストレスを解消したいのであれば、思い切って引っ越しをすることも検討した方がいいでしょう。できれば入社前に通勤しやすい場所に引っ越すのが理想ですが、実家住まいなどであれば相談の上で住環境を変えることも必要です。
労務や総務に相談する
どうしても職場環境に慣れない、馴染めないなどのストレスを感じるのであれば、会社の管理部門に相談してみるのも一手です。事前に上司に相談してからという場合もありますが、最近ではメンタルケア部門を設けている企業も増えています。事が大きくなる前に、ガス抜き目的でもいいので相談してみましょう。
労働基準監督署に相談する
もしもストレスやメンタル不調の原因が労働基準法に違反しているなど、コンプライアンスに関わっているのであれば、労働基準監督署に相談することも考慮する必要があります。この場合は過剰な残業を強いられる、残業代が支払われないなどのケースとなります。基本的に相談の秘密は守られるので、最寄りの監督署を調べた上で相談するようにしましょう。
転職をする
これは自分の人生を左右しかねないので、最終的な判断として捉えておきましょう。法令に違反していないが、自分の性格に職場環境が合わない。どうしても上司や先輩との関係がうまくいかないなど、現状では解決できない場合は職場を変えるのも方法の一つです。自分では判断しきれない際は、キャリアアドバイザーなどの専門家に相談することも可能です。
「一人で抱え込まない」ことが一番大事
人生の中で社会人としての時間は圧倒的に長く、その間に様々な変化が生じることは決して珍しくありません。学生から新社会人になることへの変化は”はじめの一歩”に過ぎず、いかにストレスと上手につきあい、変化に対応していくか。実はメンタル不調を回避していくことは、処世術を身につけるということでもあります。
社会人として自覚するべきは、決して自分は一人ではないということ。仮に新卒入社が自分一人だけだったとしても、必ず上司や先輩があなたの身近にいます。最初はなかなか話しかけにくい雰囲気だとしても、一歩行動に移すことで状況は大きく変わっていくものです。それでも乗り越えられない壁があるならば、自分の人生において最善の選択肢を選ぶための相談先を見つけ、ベストな答えを誰かと一緒に導き出してください。
必要であれば、ぜひインタツアーにもご相談ください。新社会人が陥りやすいメンタル不調に対して、親身になってご相談をお受けいたします。気になる方は、まずご連絡を。