学生や就活生にとってあまり馴染みのない言葉ですが、就活サイトを見ていると「第二新卒」という言葉を目にした人も多いと思います。「新卒に第二ってあるの？」「自分たち新卒での就活生と何が違うの？」と疑問に感じても、身近ではないから「そういえば聞いたことがあるかな」レベルで認識しているかもしれません。
今回は就職活動中に気になる言葉のうち、ちょっと気になるワードをご紹介。その第一弾として「第二新卒」を紹介します。ちなみにこの言葉、この先きっと関わりが出てきる言葉になるでしょう。今のうちに知っておいて、就職後のキャリア形成のヒントとしてほしいと思います。
Table of Contents
「新卒」と「第二新卒」の違いや定義って何？
最初に認識しておかなければならないのが、第二新卒とは新卒といったい何が違うのかという点です。簡単に説明すると、新卒は大学などの学校を”卒業する前に就職活動を行う”人たちのことを指すのに対し、第二新卒は学校を”卒業してから就職活動を行う”人たちのことを指す言葉。就活サイトでの募集条件の中に『既卒者』という言葉を見た人もいるかと思いますが、その既卒者このことを第二新卒と認識するのか…というと若干事情が異なってきます。
では、「第二新卒」は具体的にどのような定義があるのでしょうか。一般的には以下に該当する人のことを第二新卒と称する傾向にあります。
・学校を卒業してから3年以内
・一度、社会人として就業経験を持っている人
つまり正社員や契約社員など、どのような雇用形態であっても社会人として就業経験があり、なおかつ短期間で会社を辞めている人のことを指すわけです。何かしらの事情で就職浪人となってしまった人については、第二新卒として定義づけるのはちょっと難しいかもしれません。ところが第二新卒を明確に定義づける条件は、明確に定められていません。厚生労働省においても上記のような定義自体はあくまでも目安と捉えていて、判断自体は企業側に委ねているとしています。
そもそも第二新卒という言葉がどのようにして世の中に登場し、広まっていったかは諸説あります。中でも考案したのはバブル期の就職情報誌の編集者である説が強く、その時点で新しい求職者層を表した言葉だったと推測されています。
「第二新卒」の大きな特徴は？ニーズは？
第二新卒が求職者層として市民権を獲得した背景には、採用する企業側に大きなメリットをもたらしてくれる点が挙げられます。その特徴や社会的ニーズについて、いくつか紹介していきましょう。
必要な時に若年層の増員ができる
そもそも企業が新卒採用を行うのは、次の時代を担う若年層をより多く確保することで組織の体制維持をはかる目的があります。第二新卒は20代中盤の若年層を採用することができるので、特に世代交代を検討する企業は積極的に採用を行う傾向にあります。また、まだ若年層ということもありますので、月給も新卒初任給プラスアルファで設定できるのも大きな特徴の一つです。
教育コストを削減できる
すでに社会人としてデビューしているということは、最初の就職先で基本的なマナーや業務スキルを身につける研修を受けているケースがほとんど。採用側としては一から人材教育を行う必要がなく、必要に応じて数日間のガイダンスと3ヶ月から半年程度のOJTを行うことで、早期の戦力化が実現できる点にメリットを感じています。
意欲の高い人材を確保できる
前職を何かしらの理由で退職し、違う環境で再チャレンジをする傾向が高いのも第二新卒の特徴の一つ。同じ轍は踏まないと考えている上にやる気も高く、採用側もその人を迎え入れることで課題解決ができるかもしれないと大きな期待を寄せています。場合によっては組織の活性化をはかることもできるので、第二新卒の採用に力を入れている企業も少なくありません。
「第二新卒」のメリットや強みは？
逆に第二新卒側にとっては、果たしてどのようなメリットを享受することができるのでようか。立場的な強みを含め、いくつかのポイントを紹介していきます。
新卒並みに選択肢が多い
企業によって採用したい人物像は異なりますが、20代中盤までは新卒同様の求人が受けられると言われています。これは少子高齢化に伴う会社側の高齢化が大きな要因として上げられるのですが、それだけ若くて活がいい人材を求める企業が多いということになります。
新卒学生にはない『経験』がアピールできる
特に同じ業界、同じ職種においては、培ってきた経験やスキル、知識は企業に向けた大きなアピールポイントとなります。さらに資格を保有していれば特定の仕事において即戦力となるだけではなく、一つ上のポジションで活躍できるチャンスも得られます。
柔軟性が高い
人は年齢を重ねていくと考え方や価値観が凝り固まるものですが、第二新卒は経験やスキルを有しながら柔軟性の高い発想、そして行動ができる特徴があります。経験や知識のない新卒学生では荷が重いことであっても、第二新卒ならばフレキシブルに対応可能。この柔軟性こそ、20代の大きな武器とも言えるのです。それを背景に早期のコア人材へステップアップできるという、キャリアにおけるメリットも享受することが可能になります。
どんな人が「第二新卒」になるの？
就職先を辞める理由は人それぞれに事情が異なりますが、これまでの統計でいくつかの特徴があることがわかっています。退職理由のアンケートを取った際、上位に挙げられる傾向を紹介していきます。
労働環境が良くない
実際に働いてみると残業が多い、有給が取りにくい、そもそも休日休暇が少ないといった環境面に不満を感じて退職する人が多い傾向にあります。一見するとブラック企業か？と思われるでしょうが、ほとんどの場合は就活サイトなどで条件が明示されているケースがほとんどですので、実態に自分がついていかなかったことが理由として挙げられます。
給与水準に満足できる
こちらも就活サイトで初任給額は明示されているはずですが、求人票に書かれている月給額は基本給というもので、社会保険などが引かれていない状態のもと。実際には様々な金額が差し引かれた形、いわゆる手取りとして支給されるのですが、そこに不満を感じて退職するケースも少なくありません。また、先輩たちの給与水準がイメージしているようりもかなり低いケースもありますので、初任給額が多少良くても、将来に不安を感じて辞めたという人もいます。
職場の人間関係に不満
就職活動時では上手くやっていけそうと感じていても、実際に四六時中も一緒に仕事をしていると上司や先輩たちの粗が見えてくるものです。また、同期との相性も悪いパターンに陥る可能性も高く、悪い人間関係に悩んで退職するケースは非常に多いです。なお、これは自分自身のコミュニケーション能力に関わることもあり、これを理由に挙げない第二新卒者も存在しています。
会社や事業の将来性に不安
入社1年目は希望を持って入社したけれど、月日が経つにつれて憧れていた世界の現実を知るようになります。外側から見るとキラキラした世界だったはずなのに、中に入ってみるとトレンドとズレが生じている、世間からのニーズが減り続けていることに気づくことも珍しくありません。いわゆる『オワコン』に絶望し、会社を辞めてしまう人も多いのです。
「第二新卒」は「新卒」よりも有利なのか？
実を言うと、第二新卒だからといって新卒よりもアドバンテージが大きいとは限りません。まっさらな状態の新卒学生に対し、第二新卒には第二新卒ならではのデメリットも存在します。その現実を知ることで、早期の第二新卒化を安易に考えないようにしましょう。
すぐ辞めるのでは？という疑念
企業としてはできるだけ長く、腰を据えて働き続けてほしいという本音があります。しかし第二新卒は早期で前職を辞めている事実があり、中には「うちもすぐに辞めてしまうのでは？」と疑う人事担当者もいます。特に入社１年以内での退職は、むしろデメリットが大きいと言えるでしょう。
前職における”クセ“
身につけた経験やスキル、ノウハウを活かしてもらいたい反面、前職での仕事のやり方を押し通してしまうのではないかという懸念も抱かれがちです。企業は自分たちのやり方、ルールの中で仕事を進めてほしいという考えがあります。特に複数人数で業務を行う仕事や事業においては、協調性を見出すような行動をする人は孤立するリスクもあります。
若さゆえの頼りなさ
これには個人差がありますが、一般的に仕事で一人前になるとされる目安は3年と言われています。第二新卒は卒業から3年以内の若年層である以上、経験やスキルなどの習熟度は決して高いとは言えません。もっとも企業側もそれを承知の上で採用を行っているものの、求める基準に達していない場合は第二新卒であっても採用しないケースは十分考えられます。
「第二新卒」の就活は？
ここまで第二新卒のことを紹介して多くの人が気づいたと思いますが、第二新卒の就職活動はズバリ転職活動となります。従って新卒における就職活動とは、動き方がまったく異なります。どのような方法で転職活動を行っているか、そのパターンを紹介します。
ハローワーク
会社を退職した場合、発行された離職票をもってハローワークに失業申請を行わなければなりません。その際に自分の希望する業界や職種、条件などを伝えることで候補となる企業を紹介してもらえます。
転職サイト
就職活動の際に利用した就活サイト同様、転職サイトもパーソナルデータを登録することでスカウトを受けたり、希望の企業や職種をメールなどで紹介されたりと、転職活動をサポートしてくれるサービスが受けられます。また、履歴書や職務経歴書を登録することで、すぐ応募ができる点も大きな魅力です。
求人情報誌・折込チラシ
公共の場に設置・配布されているフリーペーパー、業界に特化した有料の求人情報誌、新聞の折込チラシに入ってくる求人広告も、転職活動に有効なツールとなります。ただし、中には掲載情報が少なく、詳細は面接時で説明されるケースもありますので注意が必要です。
人材紹介
ハローワークや求人広告のほかに、転職支援を専門に扱っているエージェントがあります。転職相談のプロであるキャリアコンサルタントなどに相談できる上、履歴書や職務経歴書の書き方、面接ノウハウなど細かなところでサポートしてくれる点が大きな魅力です。大概のキャリアコンサルタントも積極的に第二新卒者の強みを引き出し、内定獲得までサポートしてくれます。なお、会社に在籍中でも登録・カウンセリングは可能です。
以上の方法で転職活動を行ったとしても、確実に天職が見つかるとは限りません。それは新卒での就職活動とまったく同じですので、安易な気持ちで会社を辞めようと考えることはやめておきましょう。転職は新卒以上に、自分の人生に大きな影響を与えます。だからこそ新卒時での就職活動は妥協することなく、しっかり納得した上で入社したいものです。
インタツアーではほかにも就職活動や就職後に関して何かわからないこと、心配なことが についてご相談に応じます。インタツアーコンシェルジュが親身になってご相談に応じます。まずはご連絡を。