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社会人になった給与の手取り額は?なかなか聞けない「給与」の実態

給与手取り額

就職活動を行うにあたって、エントリー先を決める上で重要ポイントの一つである「給与」。あこがれの職業に就くのであれば、できるだけ条件のいい会社で働き、高収入を手にしたいと誰もが考えているはずです。実はこの給与、アルバイト時代の感覚で捉えていると、後で痛い思いをするかもしれません。『思っていたのと違う!』ということにならないよう、社会人になる前に給与の現実についてあらかじめ覚えておきましょう。

給与は必ず、提示額より低い金額が振り込まれる

就職ナビサイトや求人票にある初任給が23万円だった場合、おそらく毎月23万円が手に入ると考える就活生もいると思います。ところがいざ給料日になって口座を確認してみると、23万円よりも少ない金額が振り込まれてビックリ!というケースも少なくありません。実はこれ、詐欺でもなんでもないことで、実際にどこの会社でも起こりうることです。

就職ナビサイトや求人票の給与額は「基本給」というもので、これは就職先の企業から支払われる報酬の基準値(ベース)となります。形式上では企業が報酬として必ず払うべき金額で、一般的に「額面」と称されています。それなのになぜ、実際よりも低い給与額が振り込まれるのでしょうか。その仕組みについて詳しく説明します。

支給時に必ず「控除」という天引きが行われる

聞きなじみのない言葉でしょうが、実はこの「控除」こそがアルバイトでもらう給与との大きな違いであり、基本給よりも低い金額で振り込まれる一番の理由です。これは法律で定められているものから企業独自の制度など様々ありますので、どのような控除があるのかを紹介していきます。

■社会保険料

社会保険とは健康保険、雇用保険、厚生年金、労災保険の4種類をまとめたものであり、一定の就業時間や労働日数が発生する場合、企業が従業員を雇用する際に加入が義務づけられています。保険料は企業が肩代わりする形で支払われているので、基本給から保険料を天引きすることで負担額を相殺しています。なお初任給では雇用保険料のみが対象となり、健康保険や厚生年金は翌月からの適用となるので注意が必要です。

■所得税

収入を得る際には、必ず所得税が適用されます。納税は国民の義務なので、この天引きを受けることで自分が社会人になった自覚を得る人も多いようです。なお、この所得税については12月に年末調整を行った際、余計に支払った金額が戻ってくる特性もあります。

■諸経費

企業によっては社員寮の家賃や光熱費など、福利厚生の一部を従業員が負担する際に基本給からの天引きを行うケースもあります。これは法令で定められているものではありませんので、気になる場合は面接時などで確認した方がいいでしょう。

手取り額が増える「手当」の種類と注意点

基本給から控除されて残った金額を「手取り額」と言いますが、実はこの手取りを増やす上で大きなポイントとなるのが「手当」です。一般的にどのような種類の手当があるのか、代表的なものを紹介していきます。

■通勤手当

求人票の交通費にあたる手当のことで、通勤時に発生する公共交通機関に支払った金額が実費で支給されます。注意すべきポイントは、あくまでも通勤時にかかる交通費として支給されるもの。交通機関を使用せずに通勤手当を受けると、業務上横領となって懲戒処分の対象となります。

■残業手当

労働基準法の定める所定労働時間、休憩時間を除く1日8時間または1週間40時間を超えた際に通常賃金の1.25倍の残業手当が適用されます。また22時以降の深夜労働や法定時間外労働が60時間を超える場合、割増賃金の支払いが定められています。企業の中にはあらかじめ所定の残業時間を設定し、基本給に固定残業代をプラスして支給するケースもあります。この場合、求人票などに詳細が記載されていますので、事前に確認する必要があります。

■家族手当

配偶者を含む扶養家族に対し、月ごとに支払われる手当です。これは企業によって金額が異なる上、適用しないところもあるので、福利厚生欄に記載がない場合は念のために確認しておいた方がいいでしょう。

■住宅手当

賃貸を利用する世帯主を中心に適用されるケースが多く、一定の金額を支給することで家賃を補助するという目的があります。特に家賃相場の高い都市部の企業に多く、中には一律手当として基本給にプラスされるところもあります。ただし、労働コストの見直しをはかる企業も増えているので、手当の詳細は事前に確認した方がいいでしょう。

■資格手当

国家資格を取得した従業員に対し、支払われる手当です。ITや不動産、建設などの業界や専門職において適用されるケースが多く、企業も資格取得支援制度などで従業員の積極的な取得をサポートしています。基本的に業務に必要な資格が対象となり、すべての資格が支給対象にはなりません。また、手当を支給しない企業も少なくありませんので、事前に確認しておくべきでしょう。

知っておくべき「賞与」の大原則

給与や手当のほかに、収入面で気になるのが「賞与」です。年2回支給されるイメージの強い賞与ですが、事前に確認しておかないと『話が違う』ということにもなりかねません。そこで賞与について、いくつか認識しておくべきポイントを紹介します。

■賞与は必ず支給されるものではない

そもそも賞与とは会社の業績が好調の場合、利益を従業員に還元する目的で支払われるものです。業績が落ち込めば支給額が下がりますし、お金ではなく現物支給となることもあります。しかし賞与が出るだけマシで、最悪の場合は全額カットもありえることを認識しましょう。

■年俸制では賞与そのものが支給されない

年俸制は年間通して報酬額が決まっており、賞与も年俸額に含まれるという前提で設定されている給与制度です。ひと月あたりの支給額が、月給制よりも高く支払われるケースもあります。ただし企業の中には分割回数を増やすことで賞与のような支給を受けられるところもありますし、年次決算で高い業績を上げた場合には決算賞与が支払われることもあります。

■入社1年目は初回の賞与支給がない

これは企業によって多少の違いがありますが、賞与は従業員本人の業績や評価によって支給されるものです。7月と12月に賞与が支給される企業の場合、4月入社の新入社員は指針となる評価がないため、7月の支給は行われないと認識した方がいいでしょう。ただし、支給の回数やタイミングは企業によって異なりますので、どのような実態となっているかも確認しておきましょう。

ここにも注意しよう!収入に関する社会人の常識

入社2年目以降でも、就職ナビサイトや求人票ではわからないこと、現実とは違うことはたくさんあります。その中でも注意すべきポイントをいくつか紹介します。

■入社2年目から控除項目が増える

1月から12月までの所得額に応じて、翌年6月から住民税の納付がスタートします。つまり新たな控除が増えることで、場合によっては手取り額が減る可能性もあります。したがって、1年目から支出の管理はしっかり行っていかなければなりません。

■昇給は確実に行われるものではない

昇給年1回の表記を見ると、「この会社に入れば、毎年給与が上がる」と思うかもしれませんが、それは年功序列がまかり通っていた時代の話。現在は成果主義、実力主義による評価制度が浸透しているので、きちんと結果を出さなければ給与は上がらないと認識しましょう。

■年収例はあくまでも「例」である

企業の中には年齢や社歴ごとに年収例を紹介しているケースもありますが、昇給や賞与が自分の業績や評価で決められる以上、あくまでも参考資料として捉えておくべきです。年収1000万円も可能と謳われている場合においても、そこまでたどり着くにはそれ相当の努力が必要であることを認識しましょう。

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