自動車事故や火災に備える 損害保険の業務とは
生命保険が「人間」に対するリスクヘッジであることに対して、損害保険は「モノや財産に対して」「偶然のリスクによって生じた損害をカバーするための保険」です。基本的に損害保険では、偶発的な事故や災害で自動車や建物、あるいは他人の大切な物などに損害が生じたとき、その経済的なダメージを補償してくれる保険です。自分の所有のものではなく、事故を起こした時の相手の車、あるいは何かの理由で相手を傷つけてしまった損害が対象となる保険もあります。
自動車事故で他人や他人の物を傷つけてしまったときに備える「自動車保険」や、火災・風水災などの自然災害で建物が損壊したときに備える「火災保険」が、損害保険としては代表的です。一定額の保険金が支払われる生命保険とは違い、損害保険の場合には、損害額により保険金の支払いが変わる「実損払方式」が中心となっています。
個人と企業の幅広いリスクに備える 損害保険の補償の範囲
事故・怪我・盗難・災害……損害保険の範囲(個人)
上で述べたように損害保険のカバー範囲は「偶然のリスクにより生じた損害」で、損害をカバーするものは自分の所有物から他人の所有物、怪我や盗難、自然災害など様々な範囲があります。個人の場合は以下の「偶然」が補償対象となります。
- 自動車保険
- 火災保険
- 地震保険
- 損害保険
- 旅行保険
賠償責任や興業中止のリスクも補償 損害保険の範囲(法人)
一般の私たちにはあまり知られていませんが、企業も「様々な偶然のリスク」のために色々な保険をかけています。企業によっては裁判のリスクも常に抱えているため、裁判費用や被害者の支払いに該当する「賠償責任保険」は非常に重要なものとなります。法人向けの損害保険の代表的なものは以下になります。
- 火災保険
- 賠償責任保険
→飲食店で食事をしてたお客様がこぼして火傷をしたり、玩具で遊んでいた子供が玩具の構造的な問題で怪我をしたな場合など、企業の事業にまつわる補償を行う保険
- 貨物・運送の保険
→輸送中・運送中の破損や紛失など
- 興行中止保険
→悪天候やコロナのような不測かつ突発的な事由によりイベントが中止になった場合の損害を補償する保険
- 企業財産
→火災をはじめとする様々な偶然な事故による事業財産の損害を補償する保険や、休業による利益・家賃の損失などを補償
グループ内で商品を調整 損害保険会社の仕組み
日本の大手の損害保険会社は巨大な保険グループの傘下にあります。そのためグループ会社の影響を受けたり、グループ内で商品が重ならないように調整していたりするため、各グループにより様々な特徴があります。
- 東京海上ホールディングスグループ
→東京海上日動火災保険
- SOMPOホールディングスグループ
→損保ジャパン日本興奮亜
- MS&ADインシュアランスグループ
→三井住友海上火災保険
相生ニッセイ同和損害保険
約6割を占める自動車保険にもDXの波 損害保険に求められていること
損害保険の中でも最もよく知られているのは、頻繁にテレビCMで見かける「自動車保険」です。2016年の資料では、自動車保険は全体の49.3%、自賠責保険は12.4%で、両方を合わせると全体の約6割を占めています。
自賠責保険とは、事故を起こした際に相手に支払う治療費などの保険料。運転をする際に義務付けられているため、国内の自動車の保有台数や新車販売台数に大きく左右されます。
自賠責保険では事故を起こした「相手の人間」の補償にしかならないため、多くの運転者は、車自体の補償もする自動車保険に加入しています。そのため、これだけ多くの契約があるのです。
この自動車保険も、ITや通信の進化により様々な変化がもたらされています。例えば、スマートフォンで写真を送るとその損傷具合を検証して修理費用の概算を出すことができたり、衛星画像の分析を通じて既存の損害と」新しい損害の検証を行う損害保険会社も出てきています。外資の保険会社の参入の競争に勝ち抜くためにも、このように「今までとは違うやり方」が求められています。
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